体脂肪の役割を正しく理解しよう 2
健康を害する原因としての脂肪
しかし、脂肪がその優秀な働きだけを発揮してくれるのは、
体内に過剌に蓄積されていないという条件においてです
(蓄積の度合いが過剰かどうか、つまり、肥満かどうかの目安は、
体脂肪率の表を参考にしてください)。
過剰な蓄積は、やはり、身体に対して悪影響を及ぼすのです。
いくつかの具体例を見てみましょう。
体脂肪が多くなりすぎると、それにともなって
血液の中に入り込む脂肪の量も増えます。
血液の中にコレステロールなどの脂肋がたまりすぎた状態ができてしまうのです。
これが高脂血症です。
この病態では、とくにコレステロールが動脈の壁に沈着しやすいため、
動脈硬化症を招きやすくなります。
コレステロールが壁に沈着すると、動脈は硬く、もろくなり、弾力性を低下させます。
また、内腔が狭くなり、血液の流れはさまたげられてしまいます。
この症状はさらに、狭心症や心筋梗塞などの重大な心臓病の原因ともなります。
体脂肪の過刺な蓄積で太っていると、高血圧になりやすいともいわれます。
太っていれば、それだけ多くの血液を心臓から送り出す必要があり、
どうしても心拍出量が多くなります。
血管の要領は一定ですから、そこを流れる血液の量が増えれば、
それにともなって血管壁に加わる圧力が増大し、血圧が上がるというわけなのです。
体脂肪と糖尿病の関係も見逃せません。
食事をすると血液中の糖分が増えますが、この糖分を脂肪細胞などにしまい込んで、
血糖値を調節するホルモンがインシュリンです。
しかし、脂肪細胞か大きくなりすぎると、
その細胞はインシュリンに対する感受性が鈍くなり、糖のとり込みが悪くなるのです。
これでは糖分の行き場がなくなってしまい、高血糖と糖尿を引き起こしてしまうのです。
また肥満が心臓病の、原因になることもよく指摘されています。
すぐに落ちないのが脂肪の存在意義だ
さて、体脂肪が大切な役割を果たしていることも、また、過剰に蓄積されることで
さまざまな病気の原因になることも、ご理解いただけたでしょうか。
過剰な蓄積が悪いのであれば、減らせばいいということになりますが、
いったん蓄積された脂肪は、汗で水分をだすようには減らせません。
また、脂肪細胞の数は増えても(乳幼児期、思春期、中年期以降は著しく噌える)
減ることはないのです。
これは、脂肪細胞が生命維持のために進化した機構であることを考えれば、
当然ともいえるでしょう。
簡単に減らないからこそ、大切な役割を担わされているのです。
しかし、脂肪細胞のこの性質が、過剰に蓄積してしまった人にとっては、
やっかいなものとして映るのでしょう。
やっかいだからこそ、体脂防に対して戦闘的ともいえる姿勢をとり、
できるだけ落とそうという努力につながると考えられます。
しかし減らしすぎたら、体脂肪は大切な役割を緊たせなくなってしまいます。
これは決して忘れてはならないことなのです。
そして、あなたが本当に肥満しているのかどうか、
今一度確認するも、必要ではないでしょうか。
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